今回は問45民法の記述式に関してお話していこうと思います。
1.採点のキーワード
早速この問題の採点のカギとなるキーワードから考えていきましょう。
キーワード1(予想配点8点)
追認拒絶
キーワード2(予想配点8点)
信義 OR 信義則
キーワード3(予想配点4点)
認められる
※キーワード②の 信義 or 信義則 についてはかけてない場合全体の点数がない
もしくは減点が大きくなる可能性があります。
2.状況を確認していこう!
1⃣この問題の関係図
今回の問題内容はA所有の甲不動産を配偶者Bが代理権がないにもかかわらずCとの売買契約を
締結し、Bが死亡した後にAに対して履行の請求をしたという内容です。
↓
つまり、『無権代理』の問題ということになります。
まず、問題の内容を整理するために関係図を作成しましょう。
問題文をもとに作成した関係図が下記のものです。
2⃣無権代理人への責任追及
民法117条1項には『無権代理人の責任』について記されています。
民法 第117条1項
他人の代理人として契約をした者は、自己の代理権を証明したとき、又は本人の追認を得たときを除き、相手方の選択に従い、相手方に対して履行又は損害賠償の責任を負う。
つまり責任を負う方法は・・・
①履行
②損害賠償
この2つの方法があります。
このうち今回の問題では履行を追及していますのでその点も認識しておきましょう。
3⃣無権代理と相続
無権代理と相続とに関する論点はいくつかありますが今回の問題については、
無権代理人(B)が売買契約を締結した後に無権代理人(B)が死亡し、
本人(A)が無権代理人(B)を相続するという内容です。
本人(A)の立場では履行を追認 or 追認拒絶をできますが、
追認拒絶をした場合、無権代理人(B)の立場を相続しているので
損害賠償は免れることができません。
ちなみに、本人(A)が死亡し、無権代理人(B)が本人(A)を
相続した場合は信義則に反するので履行の追認拒絶はできません。
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4⃣考えられる別の答案
実はこの問題、解答として考えられる論点がもう一つあります。
それは、民法761条『日常の家事に関する債務の連帯責』についての内容です。
民法 第761条
夫婦の一方が日常の家事に関して第三者と法律行為をしたときは、他の一方は、これによって生じた債務について、連帯してその責任を負う。
この論点についての判例も存在します。その判例は最判昭44年12月18日です。
判例の内容を簡単に説明すると以下のようになります。
民法第762条で夫婦には特有財産がある旨が記載されているものの相手方において売買などの行為が、その夫婦の日常の家事に関する法律行為と信ずるにつき、正当な理由がある場合は、民法110条を類推適用する。 |
しかしながら、今回の問題では『甲不動産』という表記があり
特有財産に当たり夫婦の日常の家事に関する法律行為とは言えず
解答としては誤りである可能性が高いものとなります。
3.結論
問題の内容に沿って解説をしてきましたが、
以上のことを踏まえて今回の問題に関する
解答例としては以下のようになります。
Aは、Bの無権代理行為の追認を拒絶しても信義則に反しないので、拒むことが認められる。
(42字)
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コメント
暗記だけでなく論理的な思考を学ぶのにとても為になると拝見させて頂いております。
今年の本試験では、合格ライン付近の微妙なところでして、この問45においてトアルさんにお聞きしたくコメントさせて頂きます。
AがBの無権代理行為を相続したので本人Aは拒絶の意思表示をし信義則に反しなければ拒める。
と解答を書いたのですが、どうでしょうか。何点ぐらいかお聞かせ頂けませんでしょうか。
暗記だけでなく論理的な思考、解答作成を学ぶのにとても為になると拝見させて頂いております。
今年の本試験では、合格ライン付近の微妙なところでして、この問45においてトアルさんにお聞きしたくコメントさせて頂きます。
AがBの無権代理行為を相続したので本人Aは拒絶の意思表示をし信義則に反しなければ拒める。
と解答を書いたのですが、どうでしょうか。何点ぐらいあるかお聞かせ頂けませんでしょうか。
別のところからもこちらに書き込んでしまい、重複してすいません。